網走港帽子岩ケーソンドック
日本に四か所しかないケーソンドックの一つ。天然の岩盤をくりぬいた稀な構造で、今も現役で機能している。
まずケーソンとは、防波堤などの水中構造物や、地下構造物を構築する際に用いられるコンクリート製、又は鋼製の大型の箱のこと。
ケーソン製作の専用ドックは、現在全国でも四カ所しかなく、しかも網走のケーソンドックは、ドライドックと呼ばれる天然の岩盤をくり抜いた、極めて珍しい構造である。
一九二二(大正一一)年頃、網走港修築工事の付帯施設として建設されたもので、着工から十年以上をかけ一九三〇(昭和五)年に完成した。
一九八九(平成元)年に改造されたが、周囲の壁面は現在も岩盤をそのまま利用している。また建設当時のまま現存するものは、ドック最奥部の壁面と階段、背後の防波堤などである。完成から八〇年以上たった現在も現役として機能している。「土木遺産」に認定されている。
DATA
網走港帽子岩ケーソンドック
- 形式:ドライドック式 3段式ゲート(外板付きトラス構造)
- 長さ:70.0m、幅:19.5m
- 深さ:7.2m、開口部:16.0m
- ドック内の水量:12,000 ㎥
- 製作ヤード全体の面積:11362 ㎡
- 製作可能なケーソン:1辺15m
- 喫水:7.8m まで14m
- 着工:1923(大正12)年
- 完成:1930(昭和五)年